会長サマと、夢と恋。

「……それは、」
純粋な疑問をぶつけたわたしに、長沢先輩は微笑んで、答えた。

「やっぱりあなた、ずいぶんと岸くんのお気に入り、みたいだから」

(え……)

お気に入り。

側からみたらそう見えるのかな。
うれしいけど、気に入られているイコール「好き」ではない。

「そうだ、一つ教えといてあげる。……生徒会庶務、毎年2、3人は立候補者が出るわよ。もし立候補するなら、戦う準備しておいた方がいいんじゃないかしら」

不敵な微笑み。
最後にわたしの心にズシリと重いものを残して、長沢先輩は去っていった。


そうだ。「このまま役員に」なんて、いくら思ったところでそれを決めるのは自分じゃない。
でも、生徒会に入るぐらいのことをしないと、会長には近づけないよね……。

まだ何も決まったわけじゃないのに、不安がぐるぐると心の中を回って消えない。


とりあえず、今日はもう帰ったほうがいいかな、と思って、それまでカバンに入れっぱなしだったスマホを取り出すと。


『着信 岸会長』

の文字が待ち受けに残っていて、慌ててスマホを落としそうになる。
どうやら、長沢先輩と話している間にアプリの無料通話で電話をくれていたみたい。

掛け直すか、どうするか。少し考えていたわたしの耳に、……変わらず素敵な声が聞こえる。

「……なんだよ、いるじゃねーか」

振り向くと、教室のドアのところに立っていたのは、……岸会長!


「か、会長」

「電話、かけただろ」

「すみません、気づかなくて……」

大股でこちらに歩いてくる会長は、……なんだか不機嫌そう?

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