無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
善と付き合ってる限り、以前の自分に戻ることはもうないだろう。
こんなにも目の前の愛しい人しか見えなくなるほど"愛"というものを知ってしまったんだから。
水だけに使う言葉じゃないんだ、人にも溺れるんだということを知ってしまったんだから。
呼吸するのが苦しくなってきて、私は必死に善の肩をつかんだーーそのとき。
「ただいまー」
下からお母さんの声が聞こえた。
どうやらお母さんが買い物から帰ってきたみたいだ。
私と善は慌てて勉強をしていたテーブルの前に座り直した。
それからすぐにトントンとドアを叩く音がした。
「はい」と善が答えると、お母さんがドアを少し開けてチラッとのぞいてきた。
「凛李がいないと思ったら、こんなところにいたのね」
「ははは……」
「なに?2人で勉強してたの?」
「善が、勉強教えてって言うから教えてたの……」
「そうだったのね、2人ともえらいわね。おやつにシュークリーム買ってきたんだけど食べる?」
「食べたい!」