無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

次話せるときがあったら、そのときちゃんと謝ろうーー。

そう思っていた矢先の、夏休み初日。

今日は、瑠月は刀夜くんとデートで、お父さんとお母さんは結婚記念日で出かけてしまっているので、家には私と柊木善しかいない。


柊木善は昨日夜遅くまで遊んでいたらしく、私がリビングのソファで本を読んでいるとお昼の12時ごろに寝起き感たっぷりの格好でその場に現れた。

まともに柊木善と目を合わせて話していないからなんだか緊張してしまう。


私が「おはよう」と言うと、かすれた声で柊木善も「おはよ」と返してきた。



「あのね、この前のこと謝りたくて……」



私が柊木善の目の前に立つと、頭上から「なんのこと?」ととぼけた声が聞こえた。



「私、柊木善が彼女じゃない人とキスしてたの見てがっかりしたって言っちゃったでしょ?」

「……あー……あのことか」

「そもそも私ががっかりすることなくて、柊木善が誰とキスしようが私には関係ないのにあんなに強く当たってしまって……本当に、ごめんなさい!」

< 23 / 390 >

この作品をシェア

pagetop