恐怖ダウンロード
アプリをダウンロードされてから2週間ほどしか経過していないのに、何年も経ったような感覚だ。


こんなアプリ、早く終わってほしい。


このアプリが終わった段階で、初めてあたしは日常に戻ることができるだろう。


今度はD組のクラスメートたちとも仲良くできる気がしている。


田淵さんと和田さんの顔を思い出したとき、不意に空気が冷たくなった。


ブルッと身震いをして寒気を感じた横へ視線を向けると、髪の長いあの女があたしの隣に座っていたのだ。


「キャア!」


トイレにしか出現しないと思っていた女の出現に悲鳴を上げ、床に倒れ込んでしまった。


「靖子!?」


夢が慌てて助け起こしてくれる。


どうにか立ち上がることができたけれど、今度は体がカチカチに硬直して動くことができなくなってしまったのだ。


座っている女がゆっくりと顔をあげる。


あたしはそれから目を離すこともできなくなっていた。


全身から血の気が引いて行く。


それなのに、背中には嫌な汗が流れて行った。
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