セフレのテラダ
車は丸の内ど真ん中に出て、すぐ提携パーキングに停められた。
ここで乗り捨て。

私がコートを着ながら降りるとテラダが私の右手を取る。

ああ、どうしようもなく、ワクワクした。

地下鉄に乗る。
一緒に。
向かう先は、私の家。

隣に座るテラダ。

右手は繋がれたまま。

ねえ、テラダ。
これって擬似恋愛だよね?

揺れる車内。
テラダが私の肩に少しもたれる。

「ねむい。」

小さな声。

「着いたら起こすよ。」
「うん、ありがと。」

たぶん、今日は、セックスしない。
それもそれで、なんだかアリになっていた。

テラダの髪のワックスの香りがほのかに香る。
好きな香り。

テラダ、こんなことしちゃダメだよ。
< 27 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop