セフレのテラダ
ホテルを出て先行く私の後ろをタラタラと眠そうについてくるテラダ。

「あのさ」

私が振り向いて言う。

「全部なかったことにしてね。」

ぼんやりしたテラダの顔。
反応はない。

「じゃ、ここで。」

私はテラダをその場に置き去るように急ぎ足で歩く。

始発まで20分。
駅のホームで電車を待とう。

そんな事を考えてた時だ。

「あのさあ!」

突然呼び止められる。
思わずすぐに振り向いてしまった。

テラダは笑いながらこっちを見ている。

「もし良ければなんだけど」

まだ誰もいない静かな街並みに投げられる声。

「うん。」

私はコートの裾をギュッと握る。

「俺と」

白い息でテラダの顔が曇る。

「うん。」

え、まさか、私告白される・・・?
そんな、まさか。
あるわけがない。

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