スイレン ~水恋~
「でもね、それっぽい包装紙巻き付けて送ってくれたみたい。言ってみるもんじゃない?」

「ヨシヨシ、妹の鏡だ梓は」

大根とジャコのチョレギサラダを口に運ぶ秋生ちゃんに、軽くいなされる。

「お兄さんも落ち着いたんだし、次は自分の人生(こと)考えなさいよ?目の前に落ちてたって気付かなかっただろうけど、世の中にはお兄さんをしのぐイイ男なんて山ほどいるからね?」

彼氏を作れ、とあたしを諭すお姉さん。

「ブラコンが不治の病でも軽くなりゃいいと思うワケ。騙されたと思って、上でも横でも、ちょっと視点(ピント)ずらしてみろって話。今まで端っこで切れてたのが丸ごと写ってたりするもんよ?」

サバサバした口調で悪戯気味に口角を上げてみせた。

ピントをずらして。そう言われれば確かに。いつも真正面で画面いっぱいに溢れてたのはお兄。
< 16 / 293 >

この作品をシェア

pagetop