壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
そして努力の甲斐あって半月後には以前と同じように右手で刀、左手に小太刀を持ち、二刀流でしっかりと構えの姿勢をできるようになった。

そしてその数日後には前と同じ強さでとまでいかないがわりかししっかりと振れるようになっていたので、やっと斎藤先生は稽古をつけてやると言ってくれた。

「どのくらいまで実力が戻ったのか俺が見てやる。

杉崎、手加減は不要だ。
今のお前の力で全力でかかってこい。」

この日、道場には私と斎藤先生、そして審判を申し出てくれた沖田先生がいた。

稽古なのだから模擬刀でやるのだろうと思っていたのだが、斎藤先生が「自分の刀を持てなきゃ実践には連れていかない、自分の刀を抜け」と言ったため、なぜか真剣でやることになってしまったのだ。

この真剣が抜かれるのは谷先生を介錯した日以来だったので、私は鞘から抜刀することができるか不安だった。

持ち手に手を伸ばしても力を入れられるのか。

「杉崎、自分を信じろ!」

そんな葛藤をしていると目の前の斎藤先生が私に声をかけてくれた。

その声を聞いて私は心の中にあった迷いが消えた。

私は仲間を守るためにこの刀を振るう。

そう思えばこれがあの真剣だとしても私は今まで通り鞘から抜くことができた。

そして二刀流の構えをし、目の前で刀を構えている斎藤先生めがけて私は歩を進めた。
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