エセ・ストラテジストは、奔走する
「…今日は、触れても良い?」
見下ろされている彼の顔立ちはいつも通り整っていて、どちらかというと冷たく映るくらいのポーカーフェイスなのに。
ちょっと子供みたいな伺う声色と、不安定に揺れた瞳に、さっきから忙しない心が、もうこれ以上無いくらい拍動を続けている。
優しく涙を拭ってくれる彼にまた頷こうとして、
はた、と体が止まった。
作戦は、失敗ばかりだった。
自分から種明かしするのも、もういつものことで、
私はやっぱり、全然、作戦設計者《ストラテジスト》じゃ無い。
でも、茅人1人に全部、
言わせてばっかりじゃダメだ。
「……茅人。」
「ん?」
「あの時、ごめんね。」
「……」
「茅人が今まで沢山頑張ってくれてたこと、何も気づいてなくて、確かめようともしなくて、勝手に不安になって、」
“飽きられたのかと、思った、“
言葉は思った以上に、相手の心に入り込んで深く深く痕を残す。
嬉しくて幸せな言葉ばかりを紡げる人間なら良かったけど、私はきっとそうじゃない。
だからこそ、間違った時は、ちゃんともっと勇気を出して、この人を包める言葉を送りたい。
手を握ってくれているのとは違う方の手が、
いつもみたいに優しく頬に触れる。
「そんなの良いよ」って許されてる気になる、
そんな温かい熱にどうしても甘えたくなるけど。
_____私だって、言わないと。