エセ・ストラテジストは、奔走する



「……千歳。作戦2、成功してる。」

「へ、」

綺麗な双眸と対峙した時、

“「勝負下着」なんて単語を
茅人に伝える勇気が私にはなさすぎる。“


本当の作戦は"可愛い服"って単語で隠した筈なのに、もろばれしていることにも気づいて、恥ずかしさがまた募った。


「…た、楽しそうだね、」

「うん。」

ちゅ、と可愛らしい音と共に頬にキスをされつつ、やけに艶を帯びた声で「他の作戦は?」と尋ねられる。


「……」


睨みつけても、愉快に口角が上がっていて、そういう表情はすごく珍しくて。

そもそも私はこの人に恋心の全てを持っていかれているのに、そんな顔を見てしまったらより愛しさが募って、煩い鼓動が止まりそうに無い。



「…作戦3は、あとは、もう、押し倒せって、」

「……ごめん、俺が先に実行した。」

「お、お構いなく…」


なんだろうこの会話は。

羞恥の最高潮に達すると
人は謎の返答をするのだと学んだ。



「……千歳。」

「…ん?」

「俺は、もう絶対、
お前の気持ちを置き去りにしたりしたくない。」


「……、」


頬にかかっていた髪を優しい指が整えてくれて、まるで世界でたった1人、私だけに語りかけるような声で落ちた言葉。


「こういうことして、不安にさせるのは意味が無い。

……でも、千歳に触れたいって、いつも思ってる。」


口数の多くない彼が、少し歯切れ悪く、だけど私にちゃんと気持ちを伝えてくれている。


愛しくてたまらなくて、こくこく頷けば、全部包み込むような柔らかな眼差しに、何故だか涙がこめかみ辺りを伝って、シーツへと音もなく流れていった。



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