エセ・ストラテジストは、奔走する
新居の準備等を兼ねてこの土日に東京へ来た美都と、カフェでお茶をすることになり、そこに仕事を片付けた理世も合流した。
連絡は3人で頻繁に取ってきたけど、同じ東京にいるからといって理世とわざわざ2人で会うこともしないし、顔を合わせるのは久しぶりだ。
「お前は、一応俺らのキューピッドだからな。」
「一応というか確実にそうだと思ってるんだけど。
結婚式の料理、私だけスペシャルコースにしてくれて良いよ。」
「厚かましいな。まあでも、俺らはこう見えてお前の幸せは願ってる。」
「……ありがとう。」
頬杖をついて偉そうな態度は変わらないけど理世の言葉はいつも嘘がない。
ふ、と2人に微笑んでそう言うと
「で?」
と、脈略なく切り返された。
「…で?とは。」
「お前の彼氏は、こんだけ長く付き合っておいて結婚の“け“の字も出さないわけ?」
「…あんた、常にストレートに聞いてくるのやめてよ。」
「お前さあ、こんなとこでモジモジしてたら、気づいたらすぐ歳とって、やがて死ぬぞ。」
「なんでそんな怖いこと言う!?」
美都に救いを求めても彼女も真面目な顔で頷いていた。だめだ。
そして理世は、一瞬何かを考え込むように空を仰いで
その後すぐに閃きマークを携えつつ私をニヤリと見やる。
……嫌な予感しかしない。
徐にスマホを取り出した男が、何か操作しているなあとぼんやり見守っていたらテーブルに置いてあった私と美都のスマホが震えた。