エセ・ストラテジストは、奔走する



"突然申し訳ありません。是枝 茅人です。

大学時代、ご挨拶させていただきましたが随分ご無沙汰しています。
……千歳から、何か連絡は来ていませんか。“



再び洪水になって溢れる涙をそれでも拭おうとしたら
美都に名前を呼ばれる。

「…それで私が、千歳ちゃんのお母さんにこっそり連絡したの。」

「……」

母からのおつかいも仕組まれていたのかとそこで気がついてまた、涙が出た。


「千歳ちゃん、本当にお別れはできたの?」


そうだ。

“そんな風に泣いたまま、自分の中でも整理がついてないまま、私からの承諾を“答え“にするのはやめなさい。“



断ち切るには、進むには。

___私は何もまだ、伝えてないし、

茅人から“答え“を貰ってない。






小休憩「辿るは、2人の軌跡」


「……頼りない頭脳(ブレイン)さん。」

“誰が頼りないだよ。“

「作戦名、変えたいんだけど。」

“……へえ?何に?“

「告白大作戦。」

“………え、今更?“

「うるさいな。」

“具体的な作戦は?“



「_____ただ、走って茅人に会いに行く。」


“……お前、俺のこと言えねえよ。“


クツクツと喉奥で噛み締めるみたいな笑いが届いて、
目の前の美都も笑っている。

でも、面白いからグループ名変えとく、とGOサインを貰って。


釣られて、とっくにぐちゃぐちゃな顔だけど漸くちゃんと笑えた気がした。




< 50 / 119 >

この作品をシェア

pagetop