エセ・ストラテジストは、奔走する
作戦4「結局は、ただ大好きな貴方へ奔走」
「俺、近いうち仕事変えるから。」
「え!?」
「折角千歳と住むのに、深夜に帰ってくる生活やめたい。」
「‥‥一緒に、住む?」
「軍資金分も含めてそれなりに、貯金貯まった。
今日はさすがにアポなしだから難しいけど、ちゃんと挨拶する。」
そう決意を語って、茅人は私の髪を撫でた。
「…うちのお父さん頑固なの。」
「知ってる。
お母さんは娘が大事だけど目の前にするとあんまり気持ちは言わない。
千歳も寂しいくせに上京する時、強がってた。」
”千歳、似てる。”
新幹線でのあの言葉は、
そうだったんだと初めて知る。
「わ、わたしも頑張ってお金貯めてるんだよ。」
「うん、それは大事に置いといて。
結婚準備用。」
やっぱりこの人の方が、
よっぽど策士な気がしている。
思ってもいなかった、だけど嬉しい使い道を示されてまた視界が滲んだら丁寧に拭われて。
透き通った視界の先で交わるきらきらした瞳が、
私と同じように弧を描くのが合図のように、
そのまま唇が優しく触れ合った。