エセ・ストラテジストは、奔走する
種明かしを終えた彼は、まるで優しさを贈るように頬にキスを落とす。
「…もしかして、茅人はストラテジストなの。」
「何?」
「…な、なんでも無い。」
「千歳が東京に行くって言ってくれた時から、
俺の覚悟はとっくに決まった。」
私は、自分の気持ちと、茅人の気持ちを
天秤にかけることがずっと怖かった。
左右に置いたとき、私の気持ちがあまりに重くて
片方にだけ大きく傾く結果を思い知って、
”重荷”だと、自覚したくなかった。
「千歳が好きだ。
これは一生、絶対変わらない。」
耳に届いた低くて穏やかな声が、
"まるで愛しい者をそう呼ぶかのような幻想"だなんて、もう思ったりしない。
ちょっとだけ震えていた言葉も、肩も、感情の読みにくい茅人にはとても珍しくて愛しくて。
今まですれ違ったことを埋められるように、痛いくらい彼を抱きしめた。
”千歳が好きだ”
たった1人から。
私はずっと、この言葉が欲しかったの。