エセ・ストラテジストは、奔走する
相手の考えてることは、全て分かる。
勿論、こちらの気持ちも全て伝わっている。
“長く一緒に居る“ことは、
そういうことだと、思っていた。
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「え、お前会社辞めんの?」
「うん。」
何でまた、と驚きを隠せない顔のまま、ビール片手にそう尋ねるのは高校の同級生だった真嶋。
「あんな大手の会社で、重宝されて充実してそうだったじゃん。」
「…充実、って言うと、聞こえ良いな。」
自分の言葉が苦い声と共に発されたのを確認した目の前の男は「ああ、なるほど」とそこで漸く合点したらしい。
「今のままだと、
千歳ちゃんと一緒に全然居られないからか。」
「千歳って呼ぶのやめろ。」
「独占欲こわ。」
肩をすくめて何の反省もしていない男に嘆息する。