イノセント ~意地悪御曹司と意固地な彼女の恋の行方~
「こんな話、はじめてした」
「うん」

いつも強気な王子様にこんな一面があることに驚いたけれど、少しだけ親近感がわいた。
だって、

「あのね、実は私も」
そこまで言って萌夏の言葉が止まった。

本当に話していいんだろうか?
笑われたり、気持ち悪がられたりしないだろうか?

「無理する必要はないよ」
「うん」

無理じゃない。
私が遥に聞いてほしいんだから。

「私ね、霊感があるの」
「はあ?」

やっぱり呆れられた。
まあね、これが普通の反応。

今までだって仲良くなった友達に打ち明けたこともある。
でも、笑わずにバカにせずに聞いてくれたのは晶と父さんだけだった。

「それは、念力で物が動かせるとか、瞬間移動ができるとか?」
真顔で身を乗り出す遥。

「違う、それは超能力。そんな能力があればもっと違う生き方を探しているわ」
「だよな」

あれ?
遥は、バカにしていない。
ちゃんと真剣に聞いてくれている。

「私は、人が持つオーラみたいなものが見えるの」
「オーラ?」

「その人固有のエネルギーって言えばいいのかな、悪地ことを企んでいる人とか、危険が迫っているときとかは特有の傾向があって」
「じゃあ、この前の詐欺師も?」
「そう。黒いオーラが見えたの」
「へえー」
もっと驚かれると思ったのに、遥は腑に落ちたって顔をする。

「死んだ母さんが霊感の強い人だったらしいわ。どこか大きな神社の巫女を務めていたらしいから」
「ふーん」

遥の話を聞いた後で自分の力を血のせいだって言うのは変な気がするけれど、それ以外説明のしようがない。

「お互い変わり者だってことだな」
「そうね」

フフフ。
ククク。

あっけらかんと笑ってくれる遥につられて、萌夏も笑った。
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