イノセント ~意地悪御曹司と意固地な彼女の恋の行方~
遥がまだ中学生のころ、当時高校生だった雪丸の友人として礼に出会った。
高校生にしては大人っぽくてきれいな子だなと思うだけだったが、話してみると飾らない性格にひかれた。
そのあっさりとした物言いと行動力は雪丸とも似ていたし、同い年の二人がいい友人なのもすぐにわかった。

「無理するなよ」
「わかっているわよ」

高校を卒業した後事情があって2年ほど家にいた礼と、高校中退で大検を受け受験勉強をした雪丸。
2人は二十歳になってから大学に入り、24歳で社会にでた。
雪丸の方は受験勉強に2年かけたせいで一流国立大を卒業し自分の力で平石建設に就職したが、礼は就活に苦戦していた。
家庭の事情もあり1つの内定もらえないまま秋を迎えていた礼に、遥が口をききここに就職できた。

「いじめられてないか?」

縁故入社のせいで、風当たりが強いのは遥も知っている。

「もう、いくつだと思っているのよ」
「27」

おにぎりを頬張りながら言った遥を、キッと礼が睨む。

「本当に無理するなよ。お前の体が1番だから」
「わかってるわ。遥も、萌夏ちゃんを大切にね」
「ああ」

言われなくてもそのつもりだ。
< 134 / 219 >

この作品をシェア

pagetop