サプライズは素直に受け取って。
暫しの抱擁が解かれると、席に案内してもらう。
まだ、何の挨拶も出来てないのが申し訳ないと思うが…お料理のご用意が出来ているとの事なので温かいうちに頂く事になった。
席に着くまで抵抗はしなかったが、玲央さんの腕が私の腰に回され、心なしかドキドキしてしまった。

「四季ちゃん、お酒は?」

久しぶりのお店の雰囲気に酔いしれていたら、玲央さんからお酒は飲めるのか聞かれた。

「はい。少しだけでしたら。」

私はお酒が飲めない。がせっかくのディナーにお断りは失礼だと思い、乾杯の一杯はお付き合いしようとそれを含めて返事をした。

「それじゃ、シャンパンにしようか!
 アルコール度数の低い甘めのおすすめのがあるんだ。
 百合さん!お願いします。」と玲央さんが声を掛けると「は~い」と明るく跳ねた声で返事が返ってきたのが聞こえたーーーー。

まだ、この状況に落ち着かず、店内をキョロキョロと見渡してしまう。
他にもお客様がいることに気付き、急に顔が赤くなったのが鏡を見なくてもわかった。

ヴィンテージの暖かみのある雰囲気と然り気無く聞こえてくるピアノの音色に懐かしい日々を思い出してしまう。
(変わってなくて良かった。)
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