サプライズは素直に受け取って。

数時間前のように、玄関で一息つき、ブラックのブーツを履き…今度は大きなため息を吐く。
エレベーターに乗り込むと今から工藤さんに会っても楽しい気分になれるのか、沈んだまま会っても楽しめない気がするとぐるぐる…ぐるぐる…下向きな思いばかりに嫌気がさす。
そんな思いを知らないエレベーターは下降するスピードがいつもより早く感じて小さくなる数字を恨めしく思う。
緊張感。
罪悪感。
疎外感。

オートロックのドアを開け、エントランスをくぐる………
ああ……
外へでたら満面の笑みの工藤さんが居たーー。

「…寒いなか…お待たせして…すみません。」
「四季ちゃん!こんばんは!
 来てくれて、ありがとう。
 うん。今日も可愛い。
 では、行こうか。」

「・・・。」
今は自分の気持ちに素直になれないから、この心臓の騒がしさや胸の痛みに気付かない振りをするので精一杯。
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