サプライズは素直に受け取って。

それまでのクリスマスイブは私の誕生日もあって、この目の前のレストランで四人で食事をするのが定番になっていた。
しかし、二人が亡くなってからは姉とのふたり暮らしになり徐々にこのレストランから遠ざかってしまっていた。
社会人になりたての姉と学生の私が入店するにはやや、敷居が高いというか・・・。
思い出が沢山詰まっているこの場所に来るのが怖いと思っていた私を敏感な姉は気が付いていたのだろう。

日常がガラッと変わってしまったのに、まだ学生だった私が困らないように、年が離れていた事と自分は社会人だからと姉は一人で必死に働いてくれていたのかと思うと…私は一生、姉には頭が上がらない。
だからこそ、彼女からは女性としての魅力があふれている。
そして、誰よりも幸せになって欲しいと願っている。


私はまだまだ子どもだから、ここのレストランでお祝いしたいな。なんて……時々、考えたりしていた。
恐らく声に出したり、寝言で言っていたのかもしれない。

(どうしよう。泣きそうだし、こんな事されたら好きになってしまうよーーーー。)
そんな話を工藤さんにするつもりは毛頭ないけど。

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