先生がいてくれるなら③【完】

俺は立花の手を引いて、そっと抱き寄せた。


身構えられるかと思ったけど、されるがままに身を任せている。


はぁ、これで俺の心の内が全部お前にバレるな……、まぁ仕方ないけど。



すぐに立花の身体が完全に硬直し、真上から表情を盗み見ると、とても驚いた表情をしていた。


──ははっ、気付かれたな。


それで余計に心拍が上がる。


立花の両手が俺の背中に回されて、シャツをギュッと掴んだ。


これは、立花が俺に抗議をする時によくやるサインだ。



「利用できるものは何でも利用するって、言っただろ?」



抱き寄せた時、お前の耳が俺の心臓の音を確実に拾うようにちゃんと計算したからな。


お前にどんな返事をされるか、どんな反応が返ってくるか……。


あと、久しぶりに好きな女を抱き締めたんだ、ドキドキしないヤツなんかいないだろ、そう言う色んな意味が込められた “ドキドキ” だよ。



──さあ、そろそろ反撃再開だ。


< 135 / 352 >

この作品をシェア

pagetop