先生がいてくれるなら③【完】
全てが元通りになるわけじゃない──。
私たちには話し合わなければいけないことがたくさんある。
まずは、高峰さんのこと。
先生は何があったのか教えて欲しいと言うけど、何をどこまで言えば良いのか……困ったなぁ。
本当は出来るだけ話したくない。
先生は高峰さんに対してきっと激怒するだろうし、私はそれを避けたい。
「あの、ひとつ約束して欲しいです。約束してくれたら、少しだけ話します」
私がそう言うと先生は私を睨んだ。
「……少しだけ? 約束も守った上で、“少しだけ”?」
話す前から既に怒ってるし。
「……先生がそう言う態度を取るんなら、私、話しませんっ」
「……お前、言うようになったな。高峰の影響か」
睨んで威嚇しても、私は怯まないもん。
譲れないものは譲れない、これは高峰さんの影響なんかじゃない。
私は先生が首を縦に振るまで一言も話さない、と言う決意を込めて、先生を睨み返した。
「……分かった、承諾する」
先生はすごく嫌そうに、しかも大げさにため息を吐きながら渋々そう口にする。
「で、何を約束するんだ?」
「私、これからも、時々だけど、高峰さんと連絡を取ると思います。そのことについて怒らないで欲しいし、何か言ったりしないで欲しいんです。友人としての関係を持ち続けることは、もう変える気はないので」
私がハッキリとそう言い切ると、先生は目を丸くした。
そして、また大きなため息を吐く。