先生がいてくれるなら③【完】

俺は教員としての仕事がまだ残っている。


立花と一緒に帰ってしまいたいところだが、一度職員室に戻らなければならない。


「センセー、仕事が終わったら合流してクダサイね、カラオケで待ってま~す!」


倉林がその言葉だけを言い残して、メンバーを引き連れて去って行った。


おい、反論は聞かないのか。


て言うか、いつからこのメンバーを倉林が仕切るようになったんだ!?


……倉林、お前、あとで覚えとけよ。




──職員室での仕事を終えて携帯を見ると、立花から留守電が入っていた。


念のため車の中で留守電を再生すると、ガヤガヤと騒がしい音の中、倉林が何かを叫んでいた。


……あの男、ホントどうにかして。


倉林の絶叫していた指示通りにするのは癪に障るが、立花に会うためだ、仕方なくそれに従う。


俺はため息を吐き下ろして、車を発進させた──。


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