冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
 甘い熱い吐息。翔平の興奮が伝わってきた。閉じていた目を開くと目の前にある翔平の視線とぶつかる。彼の瞳の中にはわたしが映っている。

 わたし〝だけ〟が映っている。

 今彼を独占していると思うとなんだか胸が高鳴った。誰もが振り返るような彼が今だけはわたしのものだ。

 わたしは彼の頬に自分の手を添えた。彼は少し驚いた顔をしたけれど口元をほころばせた。


「なあ、もう待てない」

 吐息交じりに耳元で囁かれたその言葉に、わたしは完落ちした。

 彼の首に腕を絡め、そして自ら彼に口づけた。

 翔平は一瞬驚いたようだったけれど、わたしのキスに応えてくれた。

 唇を離しお互い至近距離で見つめ合う。言葉にならない思いがそこにある……お互いの心の内を探り合った。

「きゃっ」

 翔平は無言のままわたしを縦に抱き上げる。抵抗したって無駄だとわかっているわたしは、そのまま彼に抱きついて、おとなしくベッドに運ばれた。
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