冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
 ふたりを受け止めたベッドが、ぎしっと音を立てる。翔平はベッドに座ったわたしをじっと見る。


「こっち見て」

 そう言われてもなかなか彼を見ることができない。その間もわたしの頬を優しく撫で続けてくれた。

 ゆっくりと視線を彼に移す。すると熱のこもった目でわたしを見ていた。

 ああ……今からとうとう……。

 見つめ合うだけで体温が上がる。

 彼が体を倒してわたしの耳元で囁く。

「安心して……絶対後悔させないから」

 耳から媚薬のように流れ込んだ甘い声。その声に体の力が抜けた。

 それからの翔平は、さっきの言葉が嘘じゃないと証明するかのように、わたしを優しく激しく高みに導いた。

 この日のわたしは間違いなく彼に夢中だった。


 翌朝。

 こんなに気まずい朝をどうしたらいいのか。今までさんざん読んできた雑誌の恋愛マニュアルの特集なんてマジで役に立たないと実感した朝。

 幸い今日が休みでよかった。こんな状態で仕事に集中できる自信がない。

 まぁ安心できるのはそれだけだけど。

 昨日の出来事を思い出させるほど乱れたベッドの上で、わたしは翔平の腕の中どうしたらいいのか焦っている。
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