小説「グレイなる一族」
エピソード三拾奈奈 「グレイなる成長」
エピソード三拾奈奈 「グレイなる成長」

I am GALY・・
私の名は、グレイ

月日が経つのも早いもので、私が「グレイランド」を建国してからもう八ヶ月以上経過している。普段「グランマ」や「セバスチャン」を見ていて感じないこの時の流れの速さを私は「アーノルド」を見ている事で感じられるのだ・・

「アーノルド」は「グランマ」と「マロン」の孫であり「セバスチャン」は叔父である。そして、彼の母親が「マーガレット」なのであるが、「アーノルド」と「マーガレット」は毎日決まった時間に自分の国に帰ってしまい、この「グレイランド」は基本的に「セバスチャン」と「グランマ」と私だけの国となる。

私は、「アーノルド」が非情に大好きであるが彼はいつもこの国の滞在時間が非情に短いので遊んであげる時間を作るのも大変なのである。どうして?大変なのか?

「アーノルド」はこの春から、中学生になってクラブ活動とやらで忙しくこの国帰ってくるのが余計に遅くなったのだ。せっかく帰ってきても学校の宿題や塾の宿題などでさらに
私といる時間は削られてしまいなかなか遊んであげることが出来ないのだ。

中学生になった「アーノルド」は、僅かな時間でぐんぐんと背が伸び今や母親である「マーガレット」を追い越さんばかりの勢いである。

「セバスチャン」そんな「アーノルド」にまだ後三年は勝てると思っている・・

そんな成長を見ていると、私がこの国を建国してからもうかなりの時間が過ぎたのだなと
ふかぶかと思うのだ。

そう「アーノルド」は大人の階段を上っているのだ。

もう少し時が流れたらその名の由来である「アーノルド坊や」と言えなくなってしまうのだな・・「セバスチャン」は「アーノルド」が大きくなって言う事を聞かなくなる前に
なるべく沢山の用事を言いつけているのだが・・そういう意味では「アーノルド」よりも
精神年齢が低いのかもしれない。

そんな時、「アーノルド」にこれまでとは違った変化が生まれたんだ。

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