受得る -jewel-【完】



私は菖蒲さまの美しい瞳が大好きでしたから、人一倍瞳というものに執着心があります。
なので自分の瞳が汚れていることを初対面の相手から指摘されてしまい、いくらか不安に駆られていたのでしょう。

その日の晩、菖蒲さまのもとを訪れた私は思わず訊ねてしまいました。


「菖蒲さま……私の目、汚いですか?」
「出し抜けにどうしたのです?」
「本日のお客様がそうおっしゃってまして」
「まぁ……」


菖蒲さまが近付いてくるたび、和と中が入り混じった空間に床が軋む音が小さく鳴り響きます。
正座をしていた私の前にやってきた菖蒲さまは、腰を下ろして私と目線を合わせてくれました。


「そんなことありませんわ」


たおやかな身のこなしが網膜を潤わせ、鈴の音のような声が鼓膜を癒してくれます。
なにより、否定の言葉をいただけたことが私を安堵させました。
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