天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「わかってます。彼はオペ看としてやってはいけないことをしました」


 私が慰めてもらっている場合じゃない。
 陽貴さんには患者さんが待っている。

 そう思った私は振り向いて笑顔を作る。


「わかってくれるといいですね」
「季帆……」
「病院内では香月でお願いします。倉田先生」


 きっと彼は、私がちょっと無理しているのも、笑顔を作った理由にも気がついているはずだ。


「了解。病棟にはすぐに連絡を入れる。そのあと一旦医局に戻ってから病棟に行くからよろしく」
「はい」


 私と同様に口角を上げて見せた彼は、私の肩を一度強く抱いてから倉庫を出ていった。



 その日。陽貴さんが帰ってきたのは二十一時過ぎだった。


「ただいま。ごめん、早く帰ってこようと思ってたんだけど……」


 玄関に出迎えに行くと、彼はバツの悪そうな顔をしている。


「赤ちゃん、心配だったよね」


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