天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私が指摘すると、彼は目を見開く。


「さすがは季帆。よくわかってる。あの子は経過も順調ですやすや眠ってたよ」
「よかった」


 彼は昨日ナースに、『言葉で伝えられない赤ちゃんだからこそどんな小さなサインも見逃せない。いつも以上に気を配ってほしい』と話していたので、ある程度落ち着くまでは帰ってこないと予想していた。


「けど、腹が立ったら責めていいんだぞ。そうじゃないと季帆は我慢ばかりだ」


 特に我慢しているつもりはないのに。


「それじゃあひとつわがままを言っちゃおう」
「なに?」


 彼は私の腰を抱き、リビングに促しながら視線を向ける。


「今度の土曜、お休みでしょ? 買い物に連れていってほしいな」
「そんなのお安い御用だけど、欲しいものでもあるの?」
「うん。あのね、指輪が欲しくて」
「指輪? いくらでも買ってやるよ」


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