天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 それを冷静にリカバリーできればよかったのだが、初めて執刀する医師でもしないありえないミスだったらしく、明らかに動揺してまともに手を動かせなくなった。

 比較的簡単なオペのため、助手は経験の浅い脳外科医ひとりだけだった。
 彼は近藤先生の動揺ぶりに目を白黒させて立ち尽くすだけ。

 オペの続行は困難と判断した外回りの看護師が、別の脳外科医へのコールを決め一旦オペ室を出ていく。

 なんとかしなければと思った私は、助手の先生に止血処置をするようにお願いした。
 しかし彼は『俺にはできない』と連発するばかり。

 私が無我夢中で言葉をかけ続けているうちにその先生は我に返り、なんとか切れた血管を修復してその後走り込んできた別の脳外科医の手によって患者さんは一命をとりとめたのだ。

 その間、なにもせずに唖然としていた近藤先生は、突然私にギラリと光る怒りの目を向けた。


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