天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「聞いたよ。だけど、季帆のせいじゃない。お前の器械出しはオペがやりやすいと、同期のヤツも自慢してたぞ」


 ハル兄が学会などで知り合い連絡を取っている先生が、京浜大学病院にもいるのだ。

 器械出しは執刀医が次に必要だろう材料や機器を予測して準備し、テンポよく差し出していくのが仕事。指示待ちだけでは務まらない。

 だから、わからないことはハル兄に聞いてオペの手技の順序を勉強したし、術中使用する薬剤の薬効や適切な使用量、そして副作用も把握した。

 ハル兄に近づきたくて必死だったのに、私の決意などもろくも崩れ去ってしまった。


「それに、もともと自分より弱いものに当たり散らすような短気な先生らしいじゃないか。季帆のせいじゃないと皆わかってるよ」

< 16 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop