天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「おいしい季帆もね」
「あっ……」


 あっという間に唇を重ねた彼は、もう一度私を抱きしめてから出ていった。



 翌日。陽貴さんに頼まれていた退院サマリーを準備していると、総師長が私を訪ねてきたので驚いた。


「香月さん。聞いてるわよ、あなたの活躍」

「いえっ。打ち込みが遅くてご迷惑をおかけしています」


 医療の知識はあっても、パソコン操作が特別得意なわけではない。

 ここでは会計をする必要がないので助かっているが、レセプトなんてひとりでできる気がしない。


「それは慣れよ。田辺(たなべ)部長が、香月さんは完璧にスケジュール管理してくれるから本当に助かっているとおっしゃってたわ」

「ありがとうございます」


 脳神経外科のトップに君臨する田辺部長とは必要時以外あまり会話も交わさないので、そんな評価をしてくれているとは知らなかった。
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