天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 門脇先生はポカーンと陽貴さんを見ている。


 これはおそらく嫉妬というやつだ。
 なにも飴ひとつにやきもちを焼かなくても……。

 しかも奥村先生にだけでなく、門脇先生にまで。

 陽貴さんはナースステーションを出ていくとき、私に向かってわざとらしく顔をしかめる。

 普段はあんなに大人な彼が、こんなに些細なことで不機嫌になるなんておかしい。
 けれども、それだけ愛されていると思えばうれしくもある。


 片山さんがICUから脳外科病棟に移ってきたのは、事故から二週間後。

 危険な状態は脱し意識は戻ったが、脳だけでなくあちこちに骨折もありまだ動くこともままならない。

 呼びかければうっすらと目を開くものの、一日のほとんどを寝て過ごしているような状態で、事故の激しさを物語っていた。


 陽貴さんと門脇先生が、片山さんの診察から戻ってきた。


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