天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 しかし、治癒まで長くかかる病状では、付き添いの家族が過労で倒れる事態もあり、心配なのだ。

 しかも片山さんは母子家庭で、親子ふたりで頑張ってきたのだそう。
 他に支えてくれる人がいない今、お母さんが倒れては大変だ。


「ありがとうございます。少し自宅に戻ってきます」

「はい。なにかあればすぐにご連絡しますので、お眠りください」


 私は小さくなってしまったお母さんの背中を見送った。

 ほどなくして有賀さんの診察を終えた陽貴さんが門脇先生とナースステーションに戻ってきた。


「倉田先生」
「ん? どうした?」
「片山さんのことでお話が」


 私が切り出すと、彼は奥の休憩室を指さすのでついていく。門脇先生も一緒だ。


「なにかあった?」


 テーブルを囲むように置かれているイスに座った彼は、私たちにも向かい側に座るように手で促す。


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