天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 陽貴さんが死力を尽くして自分の治療にあたったと知っていたからこそ、笑顔で退院していったのだ。


 そのとき内線電話が鳴りだしたので、門脇先生に頭を下げてから休憩室を出た。

 陽貴さんの胸の内をうまく伝えられた自信はないけれど、患部だけでなく〝人〟を診ている彼の医者としての信念をわかってもらいたいと願った。



 その日は陽貴さんも久々に残業もなく、彼の車で一緒に帰宅できた。


「季帆。たまには飯食いに行こうか」
「うん」
「なにがいい? いつも寂しい思いをさせてるから、なんなりと」


 そんなふうに気遣う彼は、やはり優しい。


「うーん。それじゃあ、陽貴さんが食べたいものがいい」
「は? 俺?」
「うん。陽貴さんに体力つけてもらわないと」


 踏ん張っているのは彼のほうだ。


 それに私は彼が『おいしい』と笑っている姿を見るだけで幸せ。


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