天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 すぐ近くにいた陽貴さんが対応している。


「片山さんが興奮されていて。お願いします」


 陽貴さんはすぐに駆け出していき、門脇先生も続いた。

 その後再び片山さんの病室からナースコールがあり鎮静剤の指示が入ったので、受けた加藤さんが持って走る。

 一気にあわただしくなり緊張が張り詰める。


「せん妄ってわけでもなさそうですね」


 残っている奥村先生が師長と話し始めた。


「そうね。少しずつ回復してきて難しい時期だし……」


 意識が朦朧としていたICUの時間を乗り越えてこの病棟に移り、さらに状態がよくなってくると、徐々に自分の置かれた状態がわかってくる。

 すると今度は、以前のようには動けない自分自身を受け入れるという作業をしなければならないのだ。

 若くて元気だった人ほどつらい現実となり、片山さんのように興奮状態に陥る人も多い。


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