天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい


「お見舞いですか?」
「は、はい」


 私が声をかけると、彼女は目を泳がせる。


「それではこちらに記名してください」


 私はルール通りに記名を促したが、「やっぱりいいです」と踵を返す。


「安田(やすだ)さん」


 陽貴さんは彼女を呼び止めた。


「ご心配でいらっしゃったんですよね」


 黙り込んでいる彼女に陽貴さんが声をかけると小さくうなずいた。


「片山さんは随分回復されました。お話もできますし、食事も食べられます。リハビリはもう少し様子を見てからになりますが、ベッドで起き上がるのに支障はありません」

「そうですか。よかった」


 彼女はうれしそうに笑みを浮かべる。
 やはり気持ちが残っているのではないだろうか。


「面会されないんですか?」
「あの……」
「安田さんが婚約を破棄されたことは、片山さんはまだご存じありません。ご自分でお伝えになりますか?」
< 219 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop