天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「お見舞いですか?」
「は、はい」
私が声をかけると、彼女は目を泳がせる。
「それではこちらに記名してください」
私はルール通りに記名を促したが、「やっぱりいいです」と踵を返す。
「安田(やすだ)さん」
陽貴さんは彼女を呼び止めた。
「ご心配でいらっしゃったんですよね」
黙り込んでいる彼女に陽貴さんが声をかけると小さくうなずいた。
「片山さんは随分回復されました。お話もできますし、食事も食べられます。リハビリはもう少し様子を見てからになりますが、ベッドで起き上がるのに支障はありません」
「そうですか。よかった」
彼女はうれしそうに笑みを浮かべる。
やはり気持ちが残っているのではないだろうか。
「面会されないんですか?」
「あの……」
「安田さんが婚約を破棄されたことは、片山さんはまだご存じありません。ご自分でお伝えになりますか?」