天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい


 陽貴さんの発言にハッとする。

 片山さんはようやく前向きになりかけているのに、今は酷ではないだろうか。


「いえ、あの……」
「それとも、お母さんや私の判断に任せますか?」
「……はい。そうしてください」


 自分から別れを切り出す勇気はないようだ。

 その気持ちがわからなくはない。
 彼女もきっと必死に考え、苦しんで出した結果なのだ。


「本当に、会わなくても後悔しませんか?」
「私……」
「一緒に、行きますよ」
「お願いします」


 彼女は結局陽貴さんの説得に折れ、ふたりで片山さんの病室に向かった。


「今の人、よく来てるよね」


 天野さんが話しかけてきた。


「よく?」


 私が彼女を見かけたのは二度目だ。


「うん。患者さんを検査に連れていくときに、エレベーターホールで何度か見かけたよ」


 そうだったのか。
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