天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 会いたいけど会うのが怖いという感じだったのかも。

 彼女ともう一度うまくいってほしい。
 彼女がみずから婚約破棄を告げられないのは、片山さんへの想いが残っているからではないだろうか。

 そんな期待を胸に、ふたりの背中を見送った。


 それから十分。
 田辺先生に頼まれた検査の予約を入れていると、ナースコールが鳴った。


「香月、ちょっと来てくれ」


 それは陽貴さんからで、私に片山さんの病室に来いという指示だった。


「どうしたんだろ」


 ナースコールに対応した天野さんが首を傾げるが、私もわからない。


「とにかく行ってくる」


 私は小走りになりながら病室を目指した。


「失礼します」
「あぁ、来た」


 病室に足を踏み入れると、ベッドサイドに陽貴さんと顔を伏せた安田さんがいて、最初に声をあげたのは片山さんだ。


「どうかされましたか?」


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