天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「片山さんは、俺たちが思っているよりずっと自分の状況を理解しているのかもしれないな。今まで通りバレーが続けられないだけでなく、日常生活もままならないでは、彼女に負担を強いることになる。それなら、自分以外の誰かと幸せになってほしいと願ったんだろう」


 事故に遭い苦しんでいるというのに、まだ大きな試練があるなんて残酷だ。


「泣くな、季帆」


 必死にこらえていたはずなのに、いつの間にか涙が頬を伝っていた。
 それに気づいた彼は私を腕の中に閉じ込める。


「これが片山さんの愛の示し方なんだよ。好きな女のために自分で幕引きをしたんだ」
「うん」


 わかってはいるが、わかりたくない。

 重症の患者さんと対峙している陽貴さんは、こんな無念の繰り返しなのかもしれない。


「そろそろカンファレンスだ。ひとりで大丈夫か?」
「ごめん。大丈夫。行ってらっしゃい」


< 226 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop