天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私は無理やり笑顔を作って彼を送り出そうとした。

 しかし彼は、私の笑顔が偽物なのに気づいていたに違いない。
 困った表情で私の頭をクシャッとなでてから去った。


「はー。頑張ろ」


 私がへこたれていては話にならない。一番つらいのは片山さんだ。

 プリンを持って行くときは冷静にいつも通り話をしよう。
 そう心に決めて業務に戻った。



 カンファレンスのあと、陽貴さんは未破裂脳動脈瘤のオペに入った。

 脳動脈瘤が破裂する前にそれを阻止するために行う手術で、経過が良好ならば十日ほどで退院できるはずだ。

 一方片山さんは、退院の見通しが立たない。

 面会を拒否されてからも、仕事が終わったあと毎日通ってくるお母さんからプリンを預かり会話を交わした。


「片山さん、少し落ち着いてこられましたよ。そろそろ会えるんじゃないかと」

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