天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「あの子が穏やかに治療を受けられるなら、私はいいんです。どうか、あの子をよろしくお願いします」


 彼がお母さんに〝ありがとう〟と伝えたがっていると明かそうとも考えたが、やはり本人からがいい。

 ふたりが顔を合わせられる日はそう遠くない気がする。


「とんでもないです。眠れていますか?」


「はい、おかげさまで」とは言うが、あまり顔色はよくないのが気になった。


 お母さんと別れて片山さんの病室を訪ねた。
 今日は安田さんのことがあったため、少し緊張する。

 とはいえ、夕方検温に行った天野さんの話ではいつもと変わらない様子だったようなので、私も笑顔を作った。


「失礼します」


 入っていくと、片山さんは一瞬私に視線を向けた。
 しかしすぐに天井を見つめる。


「プリンが来ましたよ!」
「なんだ、それ」


 よかった。話してくれた。


< 228 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop