天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「〝片山プリン〟持ってきました。食べます?」
「いらない」
「片山さん、食べるって言葉知ってます?」


 私が茶化すと、彼の頬が少し緩んだ。


「今日は悪かったね」

「お昼のあれですか? 顎が外れましたよ。女優じゃないんだからアドリブはききません。打ち合わせしておいてください」

「ほんと、アタフタしてたよねぇ」


 彼は白い歯を見せた。
 笑顔になったのは初めてなのでびっくりだ。


「うるさいですね。いいんですよ、しがないクラークですから」
「香月さんはいいクラークだよ」


 思いがけない言葉に、一瞬頭が真っ白になる。


「またまたー。褒めたってプリンしか出てきませんよ?」


 私は彼にプリンを持たせた。


「蓋開けてくれない? 俺、左手が思うように動かないんだわ」


 食べる気になったの?

 叫びそうなほど興奮したが、平静を装う。


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