天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私に夜勤はないが彼にはしばしばあり、大きなベッドでひとりで眠らなくてはならないのが寂しいくらいだ。

 彼は今日、日勤のみだったはずなのに、二十二時を回っても帰ってこない。


「急変かな……」


 病棟の入院患者を頭に思い浮かべてみる。

 陽貴さんの担当は比較的落ち着いている患者さんが多かったけれど、なにがあるかわからないのがこの仕事だ。

 待ちくたびれた私はソファでうとうとしてしまった。

 なにかが頭に触れた気がしてまぶたを持ち上げると、ソファの端に座った陽貴さんが私の頭を撫でていた。


「あっ、お帰りなさい」


 あわてて飛び起きた瞬間、かけられていたブランケットが滑り落ちる。


「ごめん、起こした?」


 優しく微笑む彼はすぐさま唇を重ねた。


 ことあるごとにこうして愛を示されて照れくささもあるが、たまらなく幸せな気持ちで満たされる。


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