天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
私が伝えると、彼は不意に抱きしめる。
「ちょっ」
病院内はまずいでしょ?
「こうすると温かいだろ? 俺は季帆からエネルギーをもらえて一石二鳥」
私がエネルギーをもらっているような気がしなくもない。
「片山さん、どうだった?」
しばらくしてようやく手の力を緩めた陽貴さんは、私をイスに座らせて自分も隣に腰かけた。
「それが、意外なほど落ち着いてたの。プリンを食べてくれて、お母さんを呼んでほしいと」
「そう……」
彼は目を丸くしている。
「今の自分に向き合う覚悟を決めたというような感じなのかなと」
「そうかもね。季帆のおかげだよ」
「私はプリンを運んだだけ」
片山さんに『付き合わない?』と問われたことは黙っておいた。
もし片山さんが本気だったとしても私は陽貴さんの妻だし、片山さんは安田さんのいなくなった寂しさを埋めたいだけだ。