天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私たちが話をしている横を、陽貴さんが彼女を伴って出ていった。


「長崎先生、独身なんだって。あのふたりお似合いじゃない?」


 加藤さんにささやかれ「そうですね」と返事をしたが、内心穏やかではない。

 長崎先生は京浜大学病院の腫瘍内科の教授の娘さんで、結婚相手に優秀なドクターを捜しているという噂があったからだ。

 もちろん、陽貴さんが浮気をするなんて思っていない。
 それでも、モヤモヤするのが本音だった。

 これが嫉妬というものだろうか。


 ナースたちは朝の清潔ケアと検温に散り散りになっていく。

 私は検査室への連絡や、カルテの代行に追われて午前中はあっという間に過ぎていった。

 お昼を過ぎた頃、天野さんに車いすを押された片山さんがやってきた。


「片山さん、リハビリですね」
「そう。行ってくる」


 彼は懸命にリハビリに励んでいる。
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