天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「この天才脳外科医にひとつ弱点があるとすれば、優しすぎることだ。いつもなら強気に進むところを、俺のオペだからと腰が引ける可能性もある。そのときに支えになる存在が欲しい。俺も命がかかってるし」

「いえっ、私はもう引退した身ですから」


 首を横に振り、拒否を示す。


「季帆は勘弁してくれ」


 陽貴さんがかばってくれる。


「いろいろ聞いたんですよ。近藤先生が血管を傷つけて呆然としている中、『もう無理だ』とつぶやいた助手の専攻医に止血を促したそうですね。『やってみてもいないのに無理と決めるのは患者さんに失礼です』と」


 そんなことを言っただろうか。
 あのときは無我夢中で、記憶があまりない。


「それで我に返った専攻医がなんとか止血して視界を確保した。そのおかげで駆けつけたドクターがオペをすぐに再開できて、患者は助かったと」

「私、あまり覚えてなくて……」


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