天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 陽貴さんの言葉を遮った木藤先生の表情は穏やかで、とても脳腫瘍を抱えている患者には見えなかった。


 そこで腫瘍に関する話は終わり、ふたりは大学時代の思い出話に花を咲かせていた。


「倉田のシスコンぶりは仲間内でも有名だったんだけど、まさか本当の妹じゃなくて幼なじみだったとはね」

「お前、口を閉じてろ」


 シスコン? 
 木藤先生の話に目が点になる。


「今さら照れてるのか? 飲みに誘っても約束してるからってそそくさ帰るし。どんだけ妹が好きなんだよって皆で噂してたけど、真相を知ってふーんとなったわけ」


 私と約束? 

 時々勉強を見てもらったり、買い物に行きたいときに車を出してもらったりはしていたけれど、それのこと? 

 まさか、私のために他の誘いを断っていたとは知らなかった。


「ごめん」


 条件反射で謝ると、ふたりともキョトンとしている。

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