天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 木藤先生が帰ったあと、陽貴さんはソファでもう一度検査データを食い入るように見つめている。

 私は隣に座って話しかけた。


「そんなに厳しいの?」

「このオペは過去に何度か経験があって全員無事に終えている。けど、もちろん腫瘍の状態や位置はまちまちだし、今回も成功するとは断言できない」


 彼の表情に不安がありありと見て取れる。

 患者は親友なのだから、いつにもまして慎重になるのは理解できる。

 医者だって人間だ。
 私情を入れるべきではないとわかっていても無理がある。


「でも、陽貴さんはやるんでしょ?」


 問いかけると、彼の目が鋭くなる。


「あぁ、やる。必ず木藤を守る。アイツは優秀な外科医なんだ」


 一本も神経を傷つけることなく手術を成功させるという意気込みがひしひしと伝わってくる。

 一瞬にして迷いが吹き飛んだかのような彼は、私の腰を抱いたあと続ける。


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