天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 サラリと答える陽貴さんに、長崎先生は目を丸くしている。


「それなのに倉田先生が執刀されるんですか? 冷静に対処できるんでしょうか」

「本人の希望だから、俺がやる」


 ふたりはそれきり奥の休憩室に入っていったので、続きの会話は聞こえなくなった。


「びっくり。あの患者さん、倉田先生のお友達なんだ」


 ふたりの背中を目で追っていた天野さんはぼそりとつぶやく。


「そうみたいだね」

「それなのに執刀するんだね。結構難しい症例だって師長が話してたけど」

「……うん」

「ま、倉田先生の腕なら、きっと間違いないね」


 彼女が明るい声なので、私も笑顔でうなずいた。

 きっと陽貴さんならやってのける。
 そう、信じてる。



 翌日。木藤先生の検査は滞りなく終わり、奥さまと一緒にムンテラが行われ、二週間後の手術が決定した。

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